暇人のまったり読書

まったりと趣味の読書を堪能し、アウトプットの為に読書感想文でも書こうか。

無人駅で君を待っている いぬじゅん

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親友、恋人、父や母・・切なくも温かい

5つの「再会」の物語。

雲ひとつない晴れた夕方、夕焼けが空に広がったなら寸座駅のたまるベンチに座ってみてください

 2度と会えないあの人にもう一度会えるとしたら・・・

 

大切な人にもう一度だけ会えるのが夕焼け列車です。その場所で、本気で会いたいと願ってください。きっと会えますから

 大切な友人が事故で亡くなり、自己嫌悪しながら生きてきた彼女の前に黄金色の列車が現れ、そこにいたのは亡くなったはずの親友であった。

 

この物語は天竜浜名湖鉄道の寸座駅(静岡県浜松市北区)が、物語の重要な舞台となっています。

この寸座駅のたまるベンチに腰掛けて会いたい人のことを強く思うならば、黄金色に輝く列車やってきてドアが開くとそこにはあなたの切望するあの人がいた。

身近な人を亡くし、苦しんで後悔まみれの人がもし亡くなった人と会話ができれば、前向きになれる話です。

第1話から第5話まで主人公の「好き」と「別れ」、「再会」が感動しました。

 

月まで三キロ (伊予原 新)

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この小説は短編集です。

私は買った後に気づきました。

月、3kmという知識を私は知っていたので、親近感が湧き購入してしまいました。

全ての感想を書きたくないので、面白いと思った話だけ感想を書きます。

全ての話の共通事項として、

どうにもならない状況下でもがき苦しみ、前に進もうとする主人公

天文、気象、化石、地学、素粒子物理学の科学者達

 

とりあえず、予備知識として、

月というのは静岡県浜松市天竜区にある月という地名。

この地区に入るときの道標に「月 3km」と書かれている。

この作家の小説は文章がわかりやすく、読みやすい。するすると頭のなかに入っていき小説の中に意識を短時間に置くことができる。気が付けば、本を読み始めて3時間、4時間が経過してしまう。もちろん、そこに時間経過の意識はない。単純に読みやすく、心に響く話なので、最近読書を始めた方などにはもってこいの本です。

ここからネタバレが入ります。

 

~エイリアンの食堂~

 主人公は妻を亡くした親子。父と娘の2人。

小学3年生の娘(鈴花)は、母親を亡くしたショックで眠れなくなってしまった。

定食屋を営んでいた父は、ある常連客の女性を気にしていた。

娘の鈴花がその女性をエイリアン(宇宙人)であると思い込んでいたからだ。

平日、毎晩のように来店する。声をかけ素粒子物理学の研究者だと知る。

ある時、娘の鈴花が質問攻めにしてしまう。

 鈴花:「子供いないの?」

女性:「子供がいる生活を想像することはある。」

   「だが、それはないものねだりだよ

もちろん、この時女性は鈴花のバックグラウンドを知らない。

鈴花が自分の母親とずっと一緒にいたいということも。

 食事を終え帰ろうとしていた女性を引き留め、鈴花の父がその女性に対して、母親が亡くなったことや、不眠になったことを打ち明けた。

女性:「ひどいことを言ってしまいましたね。」

   「ないものねだりなんて。」

それ以来、彼女は定食屋に来なくなってしまった。

       ~終わり~

最後まではあえて書きませんでした。

本の中で楽しんでください。

人に希望的観測を抱かせる、この登場人物のこのあとの話が知りたい。と思ってしまいました。